話し言葉では「お」が標準であるにもかかわらず、音楽の世界では日常的に「うぉ」という発音が耳に飛び込んできます。J-POPのヒット曲や合唱曲、演劇の舞台歌唱において、助詞の「を」があえて「うぉ」と強く歌い上げられる場面は珍しくありません。
音楽表現において「うぉ」が好まれる理由は、音響物理学と発声技法上のメリットにあります。母音の「お」は口の開きが奥まりやすく、子音を持たないため、リズムのアタック(音の立ち上がり)が弱くなりがちです。そこで唇をすぼめる半母音 [w] を前置して「うぉ」と発音することで、以下の効果が得られます。
第一に、リズムの頭でビートを強調しやすくなります。第二に、メロディの跳躍や高音域において、歌詞の言葉をクリアに客席へ届けることができます。作詞家やボーカリストが楽曲の感情やグルーヴを最大限に引き出すための実践的テクニックとして、「うぉ」の発音は音楽表現の中で独自の地位を確立しています。