読売ジャイアンツが達成した9年連続日本一という金字塔。いわゆる巨人V9時代において、華やかなスポットライトを浴びたのは不世出の打者である王貞治や長嶋茂雄であった。しかし、彼らが心置きなく打席でフルスイングできた背景には、扇の要で静かにゲームをコントロールする男の存在があった。
王の打撃力を最大限に生かすためのゲームメイキング、長嶋の直感的なプレーを補完する守備位置の指示。スター選手たちの個性が眩しく光るチームにおいて、森は徹底してリアリズムを貫き、チーム全体の隙を塞ぎ続けた。この絶妙なバランスこそが、前人未到の偉業を維持し続けるエンジンの役割を果たしていたのだ。