「言葉は生き物であり、時代の空気とともに姿を変える」。そう指摘するのは、言語学の第一人者である金田一秀穂氏だ。金田一氏は、日本語における「湯桶読み」や「重箱読み」といった混用現象の歴史的背景を引きつつ、「甘味」という語が単体で「あまみ」と訓読される機会が増えたことが、店を表す「処」と結合した際の影響を強く及ぼしていると分析する。
言語学的な観点から見れば、人間の脳は直感的に理解しやすい表記や音声を好む傾向がある。「甘い(あまい)」という日常的な和語の感覚が強まれば強まるほど、「かんみ」という漢語的響きよりも「あまみどころ」の方が、甘味処という空間の温かみや味わい深さをダイレクトに連想させるのだという。