有効期限を過ぎた薬の内部では、目に見えない化学分解が静かに進行している。特に注意が必要なのは、抗菌薬(抗生物質)や液体状の製剤だ。期限の切れたテトラサイクリン系抗菌薬などは、光や湿度によって有害な分解生成物へ変化し、腎臓障害(ファンコニ症候群類似の症状)を引き起こす危険性が指摘されて久しい。
さらに、目薬やシロップ剤といった水性製剤は雑菌が繁殖しやすい。使用期限を超過した目薬を点眼することで、角膜炎や重度の感染症を惹起し、最悪の場合は視力低下につながる恐れもある。単に「効き目が薄れる」だけではなく、体内で毒素として作用するリスクを正しく認識しなければならない。