試写をいち早く目撃した映画ジャーナリストらの間で、既に白熱した論争を呼んでいるのが、劇中に散りばめられた緻密な伏線の数々だ。物語は単なる犯人探しにとどまらず、登場人物たちの「記憶の曖昧さ」そのものを叙述トリックとして提示する。
特に注目すべき伏線は、主人公が常に持ち歩く壊れた銀時計と、森の奥深くに置かれた理由不明の鏡。一見すると無造作に配置された背景の小物や、登場人物のわずかな目線の泳ぎにまで、後半の衝撃的な大どんでん返しへと繋がる鍵が隠されている。何が現実で、何が幻覚なのか。堤監督が張り巡らした仕掛けを紐解いたとき、観客は二度目の視聴を余儀なくされるに違いない。