地方の固有な気候風土や歴史文化を料理で表現する「ローカルガストロノミー」。この概念を日本で広く定着させた第一人者であり、山形「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフが提唱してきた地産地消の思想は、いまや伊勢の若手シェフたちにも深く脈打っている。伝統的な和食のイメージが強かったこの地に、最先端のイタリア料理の技法が組み合わさることで、まったく新しい食の地平が開かれた。
日本イタリア料理協会にも所属する実力派たちが手がけるメニューには、単なる西洋料理の模倣ではない。松阪や伊勢の伝統野菜、近海の未利用魚などを巧みに取り入れたサステナブルな発想が随所に光る。素材本来の味を最大限に引き出す繊細な調理法は、長年受け継がれてきた伊勢の食文化に対するリスペクトそのものと言えるだろう。