かつて文芸誌『文藝春秋』のグラビアや対談企画を賑わせた文豪たちとの交流も、佐藤愛子という人間を語る上で欠かせない。特に「狐狸庵先生」こと遠藤周作とのやり取りは、文壇名物として今も語り草になっている。互いに容赦ない冗談を飛ばし合いながらも、根底には深い敬意と友情が流れていた。
関係者の証言によって明かされた未公開のエピソードによれば、執筆のプレッシャーに押しつぶされそうになった遠藤が、真夜中に佐藤の自宅へ電話をかけ、バカ話を繰り広げて意気揚々と切っていったという。過酷な執筆現場の裏側で交わされた文豪たちの素顔とユーモアは、昭和・平成の文壇が持っていた豊潤な人間味を今に伝えている。