現在、彼の元には国内外からオファーが途切れることがない。邦画の金字塔を打ち立ててきた大手邦画配給・制作会社である東宝をはじめとする国内メジャー陣が国内市場向けのメガホンを打診する一方で、海外からはワーナー・ブラザース傘下のHBO Maxといったプレミアムビジュアルコンテンツを誇る巨大ネットワークからのラブコールが絶えない。
映画業界がいま求めているのは、国境や言語の壁を容易に飛び越える力だ。伊藤は東宝的な日本特有の情緒的ドラマツルギーと、HBO Maxが得意とする重厚でダークな世界観の構築力を巧みに融合させようとしている。ローカルなストーリーでありながらユニバーサルな感動を呼び起こす——この奇跡的なバランス感覚こそが、混迷を極める映画産業において彼が「最も頼もしいイノベーター」と目される最大の理由だ。