2005年にオープンした「あなたのウェアハウス川崎店」は、一歩足を踏み入れると1980年代の香港スラム街へとタイムスリップしたかのような圧倒的な世界観で、日本のみならず海外のメディアや観光客からも絶大な支持を集めていました。錆び付いたトタン板、剥き出しの配管、薄暗い怪しげなネオン、広東語の雑音、そして香港から直接取り寄せた当時の生活ゴミや看板に至るまで、徹底的に計算されたエイジング加工が施されていたのです。
SNS時代に入ると電脳九龍城砦の写真が世界中で爆発的に拡散され、聖地としての地位を不動のものにしました。しかし2019年秋、突如として発表された閉店の報は、多くのファンに大きな衝撃を与えました。当時、ネット上では「売上悪化による赤字撤退ではないか」「風営法や消防法関連の規制強化によるものではないか」といった根拠のない憶測が飛び交いました。
しかし、実際のウェアハウス川崎の閉店理由は極めて現実的かつ計画的なものでした。運営元の親会社である株式会社ゲオホールディングスおよび関係者への取材等で明らかになっている通り、最大の理由は「地権者との定期建物賃貸借契約の満了」です。アミューズメント施設として十分な集客と利益を維持していたものの、当初から設定されていた契約期間の満了に伴い、更新を行わずに幕を下ろすという経営判断が下されたのが真相でした。