渡来人とは、およそ4世紀末から7世紀後半にかけて、朝鮮半島(百済・高句麗・新羅・加耶諸国)や中国大陸から日本列島へ渡ってきた人々の総称です。彼らは単なる移住者ではなく、当時の東アジアにおける最先端の学問、工芸、土木、軍事技術を携えた高度専門職グループでした。
かつて学校教育では「帰化人(きかじん)」という名称が主流でした。しかし、戦後の歴史学において用語の見直しが進み、現在の教科書では「渡来人」という呼称が定着しています。この変化には明確な学術的理由が存在します。
「帰化」という言葉は、『日本書紀』などの国家イデオロギーに基づき「天皇の徳を慕って臣民となる」という主観的かつ一方的な従属関係を前提としています。しかし実際の移住動機は、母国の戦乱からの亡命や、ヤマト王権による国家プロジェクトのための招致、技術者としての招聘など多岐にわたっていました。当時の東アジアにおける国際情勢の実態を客観的に捉えるため、海を「渡り」「来た」事実を中立的に表す渡来人という用語が標準となった経緯があります。