「昔から体が硬いから無理だ」と諦める必要はない。可動域を広げるために必要なのは、気合や根性ではなく、生理学に基づいた段階的なアプローチだ。身体が硬い人がまず着手すべきは、股関節そのものではなく「骨盤の傾き」をリセットすることである。
第一段階として、太ももの裏側にあるハムストリングスと、股関節の奥深くに位置する大腰筋を十分に温め、緊張をほぐす。床に座って開脚しようとすると背中が丸まってしまう人は、まずお尻の下にクッションや折りたたんだタオルを敷き、骨盤を垂直に立てる姿勢を作ることから始めよう。
第二段階では、筋肉の反射を利用した「PNF(固有受容性神経筋促進法)ストレッチ」を取り入れる。意図的に筋肉を数秒間力ませた直後に脱力させることで、脳が「この部位は緩めても安全だ」と認識し、急速に可動域が広がる。無理に力で押し広げるのではなく、息を吐きながら30秒間静止するスタティック(静的)ストレッチを組み合わせることで、徐々に股関節の角度を深めていくのが秘訣だ。