一千八百年の歴史を誇る北斗神拳には、「一子相伝」という鉄の掟が存在する。一つの時代に伝承者は一人しか許されず、選ばれなかった者の拳は封印されるか、記憶を奪われなければならない。この残酷な掟こそが、四兄弟の関係を永遠の悲劇へと叩き落とした元凶である。
もし核戦争が起きず、トキが健やかであれば誰が伝承者になったのか。ラオウが野望を抱かなければ四兄弟の絆は破綻しなかったのか。こうしたIFの考察は、連載終了から数十年が経過した現在もファンの間で盛んに議論されている。掟に縛られた男たちの葛藤が、作品に単なるアクションを超えた普遍的な古典劇の風格を与えている。