この悲劇から数年が経過した現在、日本は「共同親権」の導入を巡る大きな転換期を迎えている。皮肉にも、この事件が残した教訓は、現在の法改正議論にも暗い影を落としている。離婚後も両親が子育てに関わるべきだという理想論の裏で、力関係の非対称性や、ドメスティック・バイオレンス(DV)、精神的虐待が放置される懸念は拭えない。
倉持氏の元妻が直面した「司法の冷たさ」は、決して過去の特異な事例ではない。今この瞬間も、離婚手続きの中で子供との関係を断たれ、絶望の淵に立たされている親たちが存在する。制度が変わろうとも、運用する人間側の倫理観や、弱者を保護するセーフティネットが機能しなければ、同じような悲劇は繰り返されるだろう。