アラームが鳴った瞬間に目が開いても、脳が正常に稼働し始めるまでには時間がかかる。この状態を科学用語で「睡眠慣性(スリープ・インナーシャ)」と呼ぶ。近年、スタンフォード大学をはじめとする研究機関が発表したデータによると、現代人の睡眠慣性は従来の想定よりも長く、最長で90分から2時間近く続くケースが急増しているという。
なぜこれほど長引くのか。要因の一つは、寝起きにおける脳内のアデノシン濃度の残留だ。本来であれば睡眠中に分解されるはずの疲労物質が、深い睡眠(ノンレム睡眠)の不足によって残留し、前頭葉の血流低下を引き起こす。結果として、目が開いているのに思考が完全に停止した「泥のような朝」が完成する。