彼らの足跡を語る上で欠かせないのが、2016年の『M-1グランプリ』優勝である。昭和の名人芸を思わせるテンポと現代的なワードセンスを融合させたしゃべくり漫才は、審査員と観客の双方を唸らせ、文句なしの頂点へと押し上げた。だが、真の試練は戴冠の歓喜が落ち着いた後に訪れた。
王座を手にした多くのコンビがバラエティ番組のひな壇へと主戦場を移すなか、彼らが選んだのは「ネタの強度を高め続ける」という愚直な道だった。流行り廃りの激しい日本のお笑い界において、正統派漫才という看板を守り抜くことは、決して過去の遺産で食いつなぐことではない。時代の空気を鋭敏に察知し、テンポ感や言葉のチョイスをミリ単位で微調整し続ける果てしない作業が求められるからだ。