毎年、初夏の風が吹き抜ける頃になると、音楽配信サービスの再生回数は跳ね上がる。いわゆる「夏ソング」の定番は数多く存在するが、これほどまでに人間の「かっこ悪い本音」を前面に押し出した楽曲が、長年にわたって愛され続ける例は極めて珍しい。
ビーチや海辺のロマンスを爽やかに歌い上げる王道ポップスとは対照的だ。クーラーの効いた部屋で一人、ありもしない「奇跡のシチュエーション」を妄想しては自爆する。その圧倒的なリアリティとコミカルな悲壮感が、令和の時代を生きる若者たちの共感の琴線にも見事にはまり込んでいる。