盛岡の食を語るうえで絶対に外せないのが「盛岡冷麺」と「盛岡じゃじゃ麺」、そして「わんこそば」の二大・三大麺文化だ。しかしこれまで、特に冷麺やじゃじゃ麺は「店舗の鉄板やどんぶりで食べてこそ本物」という固定観念が根強く存在していた。その壁を打ち破ったのが、近年のテイクアウトテクノロジーの進化だ。
スープと麺を完全に分離し、食べる直前に合わせるダブル構造の専用テイクアウト容器が開発されたことで、自宅やオフィスでも店舗そのままのコシとスープのキレを楽しめるようになった。じゃじゃ麺においては、特製味噌の風味を損なわないよう加温式のボックスが導入され、締めのごちそうである「チータンタン(玉子スープ)」まで自宅で再現できるセットがヒットしている。
地元で長年愛される名店の店主は語る。「麺類をお弁当として持帰るなんて昔は考えられなかった。でもいまや、家庭の夕食やオフィスランチの選択肢としてすっかり定着したよ」。伝統の味を守りつつ、形を変えて進化を続ける姿勢に、この街の食に対する執念すら感じられる。