なぜ集団で人は豹変するのか?群衆心理の正体と巻き込まれぬ防衛術

なぜ集団で人は豹変するのか?群衆心理の正体と巻き込まれぬ防衛術

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「自分は意志が強いから、集団の意見には流されない」と考えるのは危険な過信です。社会心理学の歴史において行われた数々の厳密な実験が、環境次第で人間の良識がいかに脆く崩れ去るかを証明しています。

1951年にアメリカの心理学者ソロモン・アッシュが行った同調実験では、明らかに長さの異なる線分を見せ、サクラの被験者全員がわざと誤った回答を一斉に口頭で答えました。その結果、被験者の約75%が少なくとも1回は周囲の誤答に同調し、全体の回答の約37%が周囲に流された誤った判断を下しました。正解が客観的に明白である状況ですら、他者と異なる意見を主張することに対して脳は強烈なストレスと恐怖を感じる構造になっているのです。

さらに、スタンレー・ミルグラムによる「服従実験(アイヒマン実験)」やジンバルドーの「スタンフォード監獄実験」は、権威への盲従と割り当てられた役割(集団規範)への同化が、ごく一般的な市民に残虐な行為を平然と実行させることを浮き彫りにしました。

認知科学の最新知見によれば、人間が集団の意見に同調した際、脳の報酬系領域(側坐核など)が活性化し、逆に孤立する判断を下した際には身体的苦痛を感じる際と同じ部位(前帯状皮質)が反応することが判明しています。群衆に同調することは、生物学的な生存本能に根差した強力な衝動なのです。

林 結菜
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林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。