東海テレビが制作した数々の昼ドラマの中でも、2007年に放送された『麗わしき鬼』は今なお語り草となっている。遠野なぎこ演じる主人公・旬子が辿る苛烈な運命、欲望と憎悪が複雑に交錯する重厚なストーリーテリングは、当時の視聴者を画面前に釘付けにした。
「昼ドラといえば過剰な演出や突拍子もない展開が注目されがちだが、彼女の演じる役柄には嘘がなかった」と、当時の番組制作に関わった関係者は述懐する。悲鳴を上げ、号泣し、復讐の情念を漂わせる感情の振り幅。過激なセリフ回しも、遠野の圧倒的な滑舌と鋭い眼光によって単なる見世物ではなく、迫真の人間ドラマへと昇華されていた。