「たった一枚の紙で、売上が昨日の10倍に跳ね上がることも珍しくありません」。そう語るのは、都内大型店舗のバックヤードで筆を走らせる専属のPOPライターだ。ドンキの店舗裏には、POP制作だけを専門に担う職人たちが常駐する特設デスクが存在する。2026年現在、AIやデジタルサイネージが急速に普及する一方で、店内を支配しているのはどこまでも人間味あふれる手書きPOPなのだ。
職人が明かす爆売れの法則は実に泥臭い。「綺麗に書くこと」ではなく、「客の足を止め、心に引っかかりを作ること」が至上命令とされる。ドンキ独特の太い丸文字(通称・ドンキ文字)は、視覚的なインパクトを与えるだけでなく、心理的な親近感を生み出す視覚効果が緻密に計算されている。商品開発者の苦労話や「正気ですか?」と思わせるような本音混じりのキャッチコピーが書かれた紙一枚が、棚で眠っていた商品を一瞬でヒット商品へと変貌させていく。