漫才の進化は、それをジャッジする審査員陣の視線の変化でもあります。歴代の審査員席には、上方漫才の重鎮から関東コント界のトップランナー、さらには落語家や前年王者まで、多種多様なプロフェッショナルが座ってきました。
初期(2001〜2010年)は、大会創設者である島田紳助氏をはじめ、西川きよし氏、横山やすし氏の系譜を引く上方話芸の技術論が重視され、「しゃべくり漫才のテンポと構成」が審査の絶対的な軸でした。しかし、復活後の第2期(2015年以降)は、松本人志氏、上沼恵美子氏、オール巨人氏、中川家・礼二氏、博多大吉氏、富澤たけし氏、塙宣之氏、立川志らく氏、山田邦子氏、海原ともこ氏など、より多様な笑いの文脈を評価できる布陣へとシフトしていきました。
この審査員の多様化がもたらした最大の成果が、マヂカルラブリーのような「動きを主体とした漫才」や、ランジャタイ、ヨネダ2000といった「アヴァンギャルドな世界観」の包摂です。「漫才か漫才じゃないか」という議論そのものをエンターテインメントへと昇華させ、技術点だけでなく「客席をどれだけ揺らしたか」「新しさを提示できたか」という総合芸術としての評価軸が確立されました。