DNAが設計図であるなら、それを実際に「組み立てる」工程が存在します。高校生物の根幹をなすこの仕組みは「セントラルドグマ」と呼ばれ、生命活動の最も根源的なルールです。 細胞核の中にあるDNAの二重らせんが解かれ、必要な遺伝子領域の情報がmRNA(メッセンジャーRNA)に書き写されます(転写)。その後、mRNAは核の外へ出て細胞質のリボソームという器官へ運ばれ、そこに並ぶ3つの塩基(コドン)ごとに対応するアミノ酸が結合していき、最終的に立体的なタンパク質が合成されます(翻訳)。 私たちの筋肉、皮膚、血管、ホルモン、免疫抗体に至るまで、体内のあらゆる実体はこの「DNA → RNA → タンパク質」という流れによって作り出されています。
染色体異常が起きるメカニズムと種類
細胞分裂の過程において、染色体の分配や構造にエラーが生じる現象が染色体異常です。これらは決して特殊な事象ではなく、受精や細胞分裂の際に一定の確率で発生する生物学的なエラーです。 * 数の異常(異数性):減数分裂の際に染色体が正常に分かれない「不分離」によって生じます。代表例として、21番染色体が3本になるダウン症候群(21トリソミー)や、18トリソミー、性染色体がX1本のみとなるターナー症候群(45,X)などがあります。 * 構造の異常:染色体の一部がちぎれて別の場所に結合する「転座」、一部が失われる「欠失」、向きが逆になる「逆位」などがあります。 医療現場の統計データによると、自然流産の約半数以上には何らかの染色体数の異常が認められることが分かっており、生命が誕生するプロセスの繊細さと厳密さを物語っています。