突発性難聴は、治療を開始するまでの「スピード」が生涯の聴力を決定づけるタイムリミット付きの疾患です。臨床データでは、適切な治療を受けた患者のうち約3分の1が完治、3分の1が部分的な回復(難聴や耳鳴りの残存)、残る3分の1は回復が困難という厳しい現実があります。
回復した人と後遺症に悩まされる人の決定的な違いは、「発症後48時間以内、遅くとも1週間以内に専門的な治療を開始できたか」に尽きます。
【見逃してはならない初期症状セルフチェック】
- 朝起きたら突然、片方の耳が詰まった感じ(耳閉感)がする
- 電話の受話器をあてたとき、片耳だけ相手の声がくぐもって聞こえる
- 「キーン」「ジー」という激しい耳鳴りが急に始まった
- 音が二重に響いて聞こえたり、金属音のように歪んで感じたりする
- 耳の違和感と同時に、フワフワするようなめまいや吐き気を伴う
標準的な治療法としては、内耳の炎症を抑える副腎皮質ステロイド薬の高用量投与が第一選択となります。通院での内服だけでなく、重度の場合は入院による点滴治療が行われます。さらに、高濃度の酸素を取り込んで血流を促す高気圧酸素療法や、神経の緊張を解くブロック注射などが併用されるケースもあります。「疲れているだけだろう」と様子見をすることこそが、最も避けるべき初動の誤りです。