だが、港南の倉庫群が持つ魅力は、無機質な物流効率だけにとどまらない。日暮れとともに表情を変える空間がある。かつての穀物倉庫や保管庫の高い天井と広大な床面積をそのまま活かした、オルタナティブな文化拠点の存在だ。
海外の大手ギャラリーが続々と常設スペースを構え、最先端の現代アートやデジタルインスタレーションの展示が頻繁に開催されている。重厚なコンクリート壁が放つ圧倒的なインダストリアル感は、ホワイトキューブのギャラリーにはない独特の静寂と緊張感を生み出す。
さらに、かつての搬入口付近にはクラフトビール醸造所やローカルフードのポップアップストアが立ち並び、オフィスワーカーや国内外のクリエイターが集うナイトスポットへと変貌を遂げた。「古い構造物を壊すのではなく、物語を継承しながら新しいカルチャーを上書きする」この街ならではの試みが結実しつつある。