祖父江のオフィス「コズフィッシュ(cozfish)」が繰り出す装丁は、用紙選びの段階から常識を凌駕している。ざらついたボール紙、水に濡れたようなツヤのある特殊紙、あるいは経年変化で黄色く変色しやすいペーパーなど、選ばれる素材は極めて個性的だ。
さらにインクの練り合わせや印刷圧の調整にまでデザイナー自らが深く介入する。刷り上がった本を手にした時、指先に伝わる質感、めくる時の音、立ち上る独特の匂い。五感すべてを動員して「本を読む」という行為を肉体化させるアプローチは、視覚情報に特化したスクリーンメディアに対する鮮烈な回答だ。