この動きを静観していた老舗和服業界も、いまや本格的な舵切りを始めている。伝統的な染め技術や老舗ならではの上質な国産生地を贅沢に使いながら、シルエットはドレス風に仕立てた高価格帯モデルが相次いで登場した。
老舗呉服店の経営者は語る。「敷居が高すぎて若者が着物離れを起こしていた現実がある。着やすさと可愛さを入口にして、本物の生地や和柄の深みに触れてもらえるなら、それも立派な文化の継承だ」。伝統を頑なに守るだけでなく、時代のニーズに合わせて姿を変える柔軟さ。これこそが、数百年続いてきた日本の和装文化の本質なのかもしれない。