味噌煮込みうどんの汁は、単に味噌汁を濃くしたものではありません。職人が「最後の一滴まで飲み干したくなる黄金比」を追求した複雑な構造を持っています。
ベースとなるのは愛知県岡崎市発祥の「八丁味噌(豆味噌)」。米や麦を使わず、丸大豆と塩のみを原料に巨大な木桶で2年以上じっくり天然醸造されます。長期熟成によって生まれる濃い赤褐色、独特の酸味と渋み、そして加熱しても風味が飛びにくい強力な熱耐性が特徴です。ここに甘みのある白味噌や特製赤だしを門外不出の比率でブレンドすることで、角の取れた重厚な旨味が完成します。
そして味噌の個性に負けない強靭な「出汁(だし)」が不可欠です。東海地方の麺文化を支える「ムロアジ節(室鯵)」を中心に、力強い燻香と酸味を持つ「宗田節」、芳醇な香りの「本枯れ鰹節」を贅沢に使用。一般的な関西風うどん出汁の数倍もの厚削り節を煮出すことで、濃厚な赤味噌とがっぷり四つに組み合う極上のスープが生まれます。