1983年、今村昌平監督の『楢山節考』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞した際も、彼の存在感は不可欠だった。極限状態の村で生きる人間たちの業と生命力を描いたこの巨編において、彼は人間の生々しい欲望と滑稽さを一身に体現してみせた。
過酷な自然環境での撮影において、彼は役に完全に没入し、身も心もその土地の男になりきった。どんな過酷な役柄であっても逃げず、むしろ人間の醜さや泥臭さを愛おしむかのように演じる姿勢は、日本映画界の監督たちから絶大な信頼を獲得した。
そして時代は巡り、名作たちのデジタルリマスター化が進む現在。Netflixをはじめとする世界配信によって、彼の圧巻の演技は世界中の若い世代や海外の映画作家たちにも再発見されている。「本物の演技とは何か」という問いに対する答えが、彼の作品群の中に脈々と生き続けているのだ。