かつて「高さとフィジカルで劣るアジア勢は世界で勝てない」と諦められていた常識を、日本代表は鮮やかに覆しました。報道各社による現場取材データや関係者の証言を総合すると、男子バスケ日本代表の躍進の理由には3つの明確な構造転換が存在します。
第1の要因は、ホーバスHCが女子日本代表を東京五輪銀メダルへ導いた際に確立した「5アウト・オフェンスの極限化」です。コート上の5人全員がスリーポイントラインの外側に位置取り、相手の大型センターをペイントエリアから引きずり出します。インサイドに広大なスペース(ペイントアタックのレーン)を人工的に創出することで、ペネトレイションからのキックアウト、あるいはレイアップへと直結させるオフェンスシステムを構築しました。これにより、2メートル超の巨人を揃える欧州・北米の強豪国相手にも身長差を無力化することに成功したのです。
第2の要因は、徹底的なアナリティクス主導による「ミッドレンジシュートの排除」と「ポゼッション数の最大化」です。日本代表のシューティングチャートを解析すると、放たれるシュートのほとんどが「ペイント内」か「3ポイントライン外側」に二極化しています。期待値の低いミッドレンジジャンパーを戦略的に捨て、トランジション開始からわずか7秒以内に放つ「アーリーオフェンス3P」を戦術の中核に据えました。「打てるタイミングがあれば、迷わず打て。外しても怒らないが、オープンで打たない選手はベンチに下げる」というホーバスHCの徹底したフィードバックが、選手のメンタルブロックを完全に解除したのです。
第3の要因は、2016年に開幕した国内統一プロリーグ「Bリーグ」の成熟に伴うフィジカルスタンダードの向上です。強度の高い試合を毎週重ね、トップ外国人選手と日常的にマッチアップすることで、日本人選手の当たり負けしない身体づくりとインテンシティが劇的に向上しました。かつての「国際試合に出るとフィジカルコンタクトで委縮する」という弱点は完全に過去のものとなっています。