ナズナの最大の魅力は、その「完璧でなさ」にある。吸血鬼という超越的な存在でありながら、彼女の精神性は非常に人間臭い。恋バナになると途端に顔を真っ赤にして照れ出したり、コウの何気ない一言に一喜一憂したりする姿は、どこか不器用なティーンエイジャーのようだ。
彼女はコウを「吸血鬼にする(=恋をさせる)」ために血を吸い続けるが、その過程で自分自身も「誰かを愛すること」の意味を知っていく。この双方向の依存と自立のプロセスこそが、物語の核心だ。ただ守られるだけのヒロインでもなく、ただ導くだけの強者でもない。傷つきながらも対等な関係を築こうとするナズナの姿勢が、読者の共感を呼ぶのだろう。