ネット上に溢れるエピソードの多くは、「実話をもとに再構成」と謳われている。だが、その境界線は極めて曖昧だ。現在、コンテンツ制作の現場では、視聴者の感情を最も刺激する黄金比率のシナリオテンプレートが共有されている。悪役の理不尽さを極限まで描き、最後の10秒で一気に破滅させる。このカタルシスの設計図こそが、ヒットの条件だ。
「完全に創作されたフィクションであっても構わない」と割り切る視聴者も少なくない。彼らにとって重要なのは、事実かどうかではなく、その瞬間に得られる感情の解放だからだ。しかし、この『リアルを装ったフィクション』の氾濫は、人々の人間不信を無意識のうちに煽っているという側面も無視できない。