2026年における食品衛生管理の現場では、事業者に対するHACCPの義務化が定着し、サプライチェーン全域での温度管理基準が一段と厳格化されている。食品衛生法に基づく最新の衛生モニタリング調査でも、特に乳製品における食中毒リスクへの警戒度が引き上げられた。
中でも最も注意を払うべきは、低温下でも繁殖できる特性を持つ「リステリア菌(Listeria monocytogenes)」だ。一般的な食中毒菌が冷蔵庫(5℃前後)で増殖を抑えられるのに対し、リステリア菌は4℃以下の冷蔵環境でも少しずつ増殖を続ける。妊婦や高齢者、免疫力が低下している人が感染すると、重症化して髄膜炎や敗血症を引き起こす恐れがある。
食品衛生学の専門家も、外観や臭いに大きな変化がなくても、長期間冷蔵庫に放置された未加熱のチーズには目に見えない菌のリスクが潜んでいると指摘する。特に未殺菌乳を使用した輸入ナチュラルチーズや、水分の多いモッツァレラ、リコッタなどを消費期限後に生で食べる行為は、極めて危険なギャンブルと言わざるを得ない。