西側諸国であれば政治風刺や親しみやすいパロディとして受け流されるようなミームが、なぜ中国では徹底的に排除されることになったのか。その理由は、中国共産党体制における「最高指導者の絶対的権威」の維持にあります。
中国の政治体制において、国家指導者のイメージは厳格にコントロールされるべき対象です。親しみやすさの演出は党の広報機関によって綿密に計算された形でのみ許容され、大衆による無許可のパロディや「指導者を笑いの対象にすること」自体が、権威を損なうタブーとみなされます。
さらに当局が警戒を強めた決定打は、くまのプーさんが厳しいネット検閲の網をかいくぐる「隠語(スラング)」として機能し始めたことでした。直接「習近平」や「国家主席」と書き込めば即座に検閲されるため、反体制派や一般市民が政治的な不満、皮肉、体制批判を述べる際に「プーさん」というシンボルを暗号のように使い始めたのです。これに対し、当局はプーさんを単なるアニメキャラクターではなく「体制を脅かす政治的符牒」と認定し、徹底した排除に乗り出しました。