彼の跳躍を語る上で欠かせないのが、空中での極めてダイナミックな「ハサミ跳び(ヒッチキック)」だ。空中で足を大きく2歩半回転させる動きは、単なるパフォーマンスではなく、前傾姿勢に倒れ込もうとする身体の回転モーメントを制御するための高度な物理的技術である。
風向きが目まぐるしく変わる屋外スタジアムにおいて、向かい風でも着地位置を遠くへ伸ばせるのは、この空中の粘り強さがあるからだ。着地直前まで脚を高く保ち、砂場すれすれで身体を滑り込ませる技術。踏切から着地までのわずか0.5秒足らずのドラマに、世界中の陸上ファンが魅了され続けている。