今季の競り場は、これまでにない熱気に包まれている。競り人の掛け声が響き渡る中、仲卸たちの手が次々と挙がり、落札価格は過去数年の平均を大幅に上回る局面も見られた。背景にあるのは、高級寿司店や海外からのインバウンド客による需要の急増だ。
「身の厚みはもちろん、卵の密度の高さが素晴らしい」。長年ヤリイカを扱い続けてきたベテラン仲卸の男性は、氷の敷き詰められた箱を愛おしそうに見つめながら語る。2026年の春は水温のバランスが絶妙だったこともあり、成長と抱卵のタイミングが見事に合致したという。市場に並ぶ姿はどれも艶やかで、まさに旬のピークを感じさせる仕上がりだ。