作品を語る上で欠かせないのが、エリート音大生・千秋真一を演じた玉木宏との阿吽の呼吸です。劇中では千秋がのだめを容赦なく突き飛ばすなどダイナミックな掛け合いが名物でしたが、現場では互いへの深い信頼感があったからこそ成立した演出でした。
上野樹里は飛び蹴りを食らったり白目を剥いたりと、まさに全身全霊の体当たり演技を披露。それを受け止める玉木宏も、撮影の合間には細かい間合いやリアクションを上野と緻密に話し合い、妥協のないシーン作りを追求していました。過酷なスケジュールの中、二人のプロフェッショナリズムが現場の士気を常に高めていたとスタッフは証言しています。
さらにキャスト陣を追い詰めたのが、実際の楽器演奏シーンのリアリティです。上野樹里は楽譜が読めないのだめのキャラクターに寄り添いつつも、鍵盤の位置や指の動かし方、身体の揺らし方を完璧に身体へ叩き込みました。超絶技巧の音源吹き替えは世界的ピアニストのラン・ラン(Lang Lang)らが担当したものの、手元のアップを含めた上野本人の鬼気迫る演奏フォームは、プロの音楽家からも賞賛されるほどの完成度に達していました。