IgG4の異常高値に伴い、全身の単一あるいは複数臓器に腫大や硬化が起きる病態は、厚生労働省によって指定難病(指定難病300)に認定されている「IgG4関連疾患」です。かつて別個の疾患として扱われていた症候群が、2000年代以降の日本発の研究によって同一の疾患概念に統合されました。
自覚症状は病変の発生部位によって劇的に異なりますが、いずれも初期は「痛みを伴わない腫れ」として始まるため、発見が遅れやすい共通項があります。
1. 消化器系:自己免疫性膵炎(AIP)
代表格とされるのが「1型自己免疫性膵炎」です。膵臓全体がソーセージ様にびまん性腫大し、胆管を圧迫することで閉塞性黄疸や褐色尿、皮膚のかゆみを生じます。腹痛が比較的軽微であるため、人間ドックの腹部エコーや、黄疸を契機に発見される事例が大半を占めます。
2. 頭頸部・顔面:ミクリッツ病(唾液腺炎・涙腺炎)
両側の耳下腺、顎下腺、涙腺が無痛性にボコボコと腫れ上がる疾患がミクリッツ病です。目元が腫れぼったくなる、顎の下にしこりが触れるといった外見上の変化のほか、唾液や涙の分泌が低下してドライアイや口渇を訴えるケースが目立ちます。シェーグレン症候群と誤認されやすいものの、自己抗体(抗SS-A/SS-B抗体)が陰性である点で鑑別されます。
3. 泌尿器系:IgG4関連腎臓病・後腹膜線維症
IgG4関連腎臓病では、間質性腎炎や腎腫瘤が引き起こされ、自覚症状のないまま緩徐に腎機能低下(eGFR低下・クレアチニン上昇)が進行します。また、背骨の前面を通る大動脈周囲に線維化が及ぶ「後腹膜線維症」を発症すると、尿管が外側から締め付けられて水腎症を併発し、背部痛や側腹部痛を訴えて泌尿器科を受診するパターンが典型例です。