決断を下す前に、拓人はある強い希望を口にする。母校の大学で開かれる特別講義の壇上に立ち、学生たちの前で自分の思いを伝えたいというものだった。車椅子に身を預け、PCの音声合成システムを駆使して語りかける姿は、日本のTVドラマ史に刻まれる名場面として語り継がれている。
「僕は、自分の病気を呪いました。なんで自分なんだと、何度も思いました」——無機質な電子音が、拓人の切痛な本音を講義室いっぱいに響かせる。死を選ぼうとした弱さも、惨めさも、すべて包み隠さずに打ち明けた。しかし、言葉はそこで終わらなかった。病気になったからこそ知った人の温もり、友情、そして愛する恵(多部未華子)への感謝が、紡ぎ出されていく。
「病気は僕の命を奪うかもしれない。でも、僕の生きてきた時間まで奪うことはできない」。この言葉が放たれた瞬間、講義室の学生たちだけでなく、画面のこちら側にいる視聴者の涙腺も完全に崩壊した。拓人が提示したのは奇跡の全快などではない。「今の自分をありのまま受け入れ、今日という日を全力で生き抜く」という、泥臭くも神聖な覚悟だったのだ。