現地取材を重ねる中で見えてきたのは、衛生管理に対する生活者の意識の高まりと、魅せるスタイリングの高度な融合だ。行楽弁当の主役が従来の茶色い煮物や揚げ物中心から、ハーブやフレッシュ野菜を取り入れた多国籍なスタイルへと移行する中、熱中症対策とともに強く意識されているのが食中毒の予防だ。
農林水産省が発信する安全ガイドラインでも強調されている通り、温かいまま蓋を閉めるのは厳禁。調理後の急速冷却はもちろんのこと、抗菌効果を持つ大葉や梅干し、酢を効かせた味付けが定番化している。さらに、食品衛生管理の観点から、汁気の多いおかずは片栗粉やすりごまで水分の流出を防ぐ「水分封じ込め」が鉄則となった。傷みにくい環境を作る一手間が、美味しさを夕方までキープする鍵だ。
詰め方においては、「立体感」と「断面美」がキーワードとなっている。浅いお弁当箱に平坦に盛るのではなく、ワックスペーパーやカップを活用して高低差を出す。おにぎりやサンドイッチは中央でカットして美しい切り口を上に見せる。これだけで、一目で見渡したときの満足感が大きく跳ね上がる。