享年84歳でこの世を去った船村徹さんは、最期の瞬間まで「現役の作曲家」としての気概を失っていませんでした。長期間にわたる過酷な闘病生活を送っていたのではなく、自宅で家族とともに暮らしながら創作活動に向き合っていた点が、多くの音楽関係者を驚かせました。
80代を迎えてからもペンを置くことはなく、弟子たちへの歌唱指導や楽曲の構想に情熱を注いでいました。2016年秋に作曲家として史上3人目となる文化勲章を受章した際も、自らの足で皇居での親授式に臨み、矍鑠(かくしゃく)とした姿を見せていたことは記憶に新しいところです。
「病床で弱り果てる姿を見せることなく、天国へ旅立った」――この潔い幕引きは、昭和の男気と気骨を生涯貫いた船村さんらしい最期であったと、親しい音楽仲間たちからも語り継がれています。