沙也加が「SAYAKA」名義で本格的な芸能活動を開始した当初、その活動基盤には母・聖子が所属していた歴史ある芸能事務所・サンミュージックプロダクションの存在感があった。さらにCDデビューにおいては、母と同じくソニー・ミュージックエンタテインメントからのリリースという、万全の体制が敷かれていた。
しかし、用意されたレールの上を歩むことへの葛藤は拭えなかった。彼女は一度芸能活動を休止し、アルバイトを経験するなどして自らの足元を見つめ直す決断を下す。事務所の移籍や独立、そして「松田聖子の娘」という看板を完全に外したオーディションへの挑戦。それらはすべて、一人のタレントとして自立するための苛烈な試練であり、母の手を離れて一歩を踏み出すための通過儀礼だった。