1990年代初頭、ひとつのドラマが日本のカルチャーシーンを一変させた。坂元裕二が脚本を手掛けた『東京ラブストーリー』である。奔放なヒロイン・赤名リカの生き様と切ない台詞回しは、当時の若者たちの心を掴んで離さなかった。都会的な映像センスと小田和正の主題歌が融合したその演出手法は、現代へと続く恋愛ドラマの基本フォーマットを決定づけたといっても過言ではない。
その熱狂を受け継ぎ、社会現象としてのスケールをさらに拡大させたのが木村拓哉の存在だった。社会現象となった『ロングバケーション』ではピアニストを目指す青年を瑞々しく演じ、街中からピアノを習い始める男性が急増した。さらに型破りな検事の活躍を描いた『HERO』では全話平均視聴率が30%を超えるという、現在のテレビ業界では想像もつかない大記録を樹立している。当時の枠は単なる番組ではなく、流行の発信基地であり、国民的なライフスタイルの指標そのものだった。