ブレイクの象徴となった「マリーゴールド」で見せたノスタルジックな情景描写は、彼女の作詞能力の高さを見せつける決定打となった。過ぎ去った夏の日差しや切ない恋心を、誰もが思い浮かべられる共通の景色として定着させた手腕は見事というほかない。聴くたびに新しい情景が立ち現れる構造は、ロングヒットを記録した最大の要因だ。
一方で、映画主題歌としても大きな話題を呼んだ「空の青さを知る人よ」などでは、より多層的でドラマチックな視点から青春の青々しさと痛みを描き出した。一歩間違えれば重くなりすぎるテーマであっても、風が吹き抜けるようなメロディに乗せることで、軽やかさと深みを両立させる。こうしたストーリーテリングの振れ幅の広さが、楽曲ごとに異なる表情を見せ、飽きさせることなくリスナーを惹きつけ続ける。