今シーズンの春季広島県大会予選、福山地区のゲームは初戦から目の離せない死闘の連続だった。グラウンドを包むピンと張りつめた空気のなか、スタンドからは息をのむ応援が響き渡る。一死満塁の好機で飛び出した中前適時打、土壇場の9回裏で見せた捨て身のスクイズ。どの試合も、最後の1アウトまで結果が読めない緊張感に満ち溢れていた。
とりわけ注目を集めたのが、長年のライバル関係にある地元校同士の激突だ。過去の対戦成績やデータはもはや通用しない。新チーム発足からの数か月間で磨き上げられた投手陣の制球力と、隙を逃さない機動力野球が噛み合い、観客席のファンを唸らせるプレーが連発した。「今年の福山は一味違う」。バックネット裏のスカウト陣からも、そんなつぶやきが漏れ聞こえてくるほどだ。