作中で特に語り草となっているのが、劇中歌として披露された『焼氷の唄』だ。ハイカラでどこか哀愁を帯びたメロディを、透明感あふれる伸びやかな歌声で歌い上げた瞬間、テレビの前の空気は一変した。単なるBGMや小道具としての歌ではない。登場人物の心情を代弁し、物語の局面を大きく動かす力を持った「真の歌唱」がそこにはあった。
このシーンの放送後、視聴者からの問い合わせや絶賛の声が殺到したことは有名な話だ。ミュージカル『ピーター・パン』などで長年培われてきた確かな発声技術と、ドラマの文脈に寄り添う繊細な感情表現。それらが融合した歌声は、今なお多くの音楽ファンやドラマファンの心に深く刻まれている。