バラエティ番組やCMで見せる飾らないトーク、明るくお酒を愛する親しみやすいパブリックイメージから、ネット上では時折「どの役柄を演じても吉高由里子本人のキャラクターに見えるのではないか」という安易な先入観が語られることがあります。しかし、これは彼女の演技設計における最大の誤解です。
実際の現場取材や関係者の証言によると、彼女の役作りは極めてストイックかつ論理的です。大河ドラマ『光る君へ』では、元来左利きであった自身の手を数カ月におよぶ猛特訓で右利きに矯正し、当時の平安貴族としての自然な所作や毛筆による書道を完全に身体へ染み込ませて撮影に挑みました。自著や過去のドキュメンタリー番組でも、「自分を消して役に明け渡す怖さと面白さ」について率直な言葉で語っています。
日常の延長線上にある自然体な会話劇(『私、定時で帰ります。』など)を軽やかに演じる一方で、映画『蛇にピアス』やドラマ『美丘-君がいた日々-』で見せた極限状態の叫びなど、重厚な感情を宿す役柄にも全くブレがありません。「日常の軽やかさ」と「破滅的な深淵」という両極端の要素を自在に行き来できる点こそが、単なる人気女優に留まらない彼女の真価です。