西茶屋街の真骨頂は、金沢のなかでも一級の格式を誇るお座敷文化と伝統芸能の継承にある。現在も数多くの現役芸妓が在籍しており、日暮れとともに稽古場から料亭へと向かう姿が日常風景として溶け込んでいる。
「一見さんお断り」の慣習が残る老舗料亭の扉は一見固く閉ざされているように見えるが、実は一部の老舗料亭では、特定の提携宿や伝統芸能の鑑賞イベントを通じた限られたゲストの受け入れを密かに行っている。芸妓たちが贔屓にする老舗料亭の裏話や、一間奥の個室で振る舞われる加賀料理の奥義は、一般的なガイドブックには決して載らない非公開の情報だ。お座敷に上がらずとも、夕方に通りを歩くだけで三味線や太鼓の音が響き渡り、本物の花街の息吹を肌で感じることができる。