効率ばかりが求められる時代だ。タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉が定着して久しいが、その反動が今、全国的なうねりとなっている。人々が求めているのは、スマートフォンの画面をスクロールする速度ではなく、自分の手で土を掘り起こし、果実をもぎ取る「遅い時間」だ。
ここには、インスタントな快楽はない。イチゴの甘い香りを嗅ぎ分け、どの実が最も熟しているかを目を凝らして探す。この一見非効率なプロセスこそが、脳の疲労をリセットする。訪れる人々は口々に言う。「ただ果物を食べるためじゃない。そのプロセスを買っているんだ」と。