国会の承認も得ず、国民の目から隠されたまま、いかにして1億4500万円もの資金が捻出されたのか。その金融スキームの舞台裏を担ったのが、朝鮮銀行、日本興業銀行、そして台湾銀行という特殊銀行群であった。
第一次世界大戦の好況に沸く国内資本市場の余剰資金を吸い上げるため、日本興業銀行などが債券を発行。さらに朝鮮銀行が現地での巨額決済と資金供給の実働部隊としてフル稼働した。政府はこれらの銀行に対して秘密裏に元利補償を約束し、銀行側のリスクを国家が丸抱えする構造を作り上げたのである。
政策金融機関を国家の私兵のように使い潰し、健全な審査機能を麻痺させたこの手法は、金融システム全体を破滅のリスクに晒した。資金の使途は名目の「産業開発」から早々に外れ、軍閥の軍備拡張費や政争資金へと横流しされていった。