かつて日本のテレビドラマにおいて、危険な情事や大人の愛憎劇は深夜帯の密やかな楽しみだった。しかし、その潮流を大きく変えたのがフジテレビジョンが制作し、社会現象を巻き起こした『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』の登場である。平日昼間の不貞というスキャンダラスなテーマでありながら、登場人物たちの切実な葛藤を抒情的に描き出し、お茶の間の視線を釘付けにした。
その後、東宝をはじめとする大手映画配給会社も積極的に大人のラブストーリーをスクリーンへと送り出すようになる。日本映画界が培ってきた繊細な光と影のライティング、そして俳優たちの感情の機微を掬い取る演出が合わさり、かつての単なるお色気企画とは一線を画す洗練された映像美が確立されていった。